CSR REPORT 2015
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集まりには「集列体」と「共同体」という2つの概念があります。「集列体」とは、あるものをみんなで利用するために集まる、利潤だけの関係で成り立っている集まりです。「共同体」は、会員同士の相互交流によって情報を共有していく、利益や新しい価値を創りだしていく集まりです。そういう価値創りに向かっていく集まりが社会の中で大きな役割を果たしていますし、生き残っていくと考えています。CGCグループはまさに後者の共同体です。小売業というのはもともと地域の産業です。国が発達していくと地域産業だけでは規模の効率や範囲の経済が働きにくくなっていきます。CGCグループが基幹流通と地域流通をつないで地域貢献をしていくという姿が、これからのあり方だと思います。地域に根ざしたスーパーマーケットは、地域に溶け込みコミュニティを創っていくことが重要です。その地域コミュニティで重要なのは「食」。地域と食との関係はこれからますます重要になります。食は人間の基礎です。食を中心とした地域コミュニティの中で、スーパーマーケットはきわめて重要なポジションにいます。このコミュニティを通じて、人的ネットワークをさらに強固にし、新しい価値を創りながら互いに成長していくという形を作りあげるのが、CGCグループに課せられた重要な課題だと認識しています。今回の『協業のちから報告書2015』を拝見して、私がこれまで指摘してきたCGCグループのあるべき姿が、具体的な行動として実行されていることを確認できました。CGCグループという共同体の商品活動から産み出されるCGCブランドは、「地域貢献ブランド」であります。今後は、それぞれの地域で価値ある売り方、たとえば「弁当の日」応援企画の中で試食・提案されるといった取り組みを通じて、本当の意味で「地域貢献ブランド」として光り輝くものと思っています。CGCグループがこれからも「生活者の健康で心豊かな暮らし」を支えていかれることを期待しております。北海道出身。専門はマーケティング論、流通論、経営戦略論。1968年、東京大学経済学部卒業。日本勧業銀行勤務の後、財団法人流通経済研究所で研究に従事。明治学院大学経済学部教授を経て、現職。政府の産業構造審議会で流通部会長・サービス部会長を務める明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授上うえはら原 征ゆきひこ彦さん地域コミュニティの中でさらに新しい価値創りを第三者からのご意見「協業のちから報告書2015」を読んで64

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